【横浜市金沢区】重いセメント瓦の棟から雨漏り、軽いガルバリウムに葺き替えた実例と判断

この記事の結論

  • セメント瓦は、表面の塗膜で水を防ぐ屋根材です。ただし棟(屋根のてっぺん)から雨漏りしている場合は、瓦を塗っても水の入り口はふさがりません。
  • 金沢区の実例では、雨漏りを見つけていたため、塗装ではなく、軽いガルバリウム鋼板への葺き替えを選びました。
  • 地震で建物にかかる力は、建物の重さに比例して大きくなります。屋根を軽くすることは、その力を小さくする方向に働きます。
  • 横浜市の木造住宅耐震改修補助では、軽量化のための屋根のふき替えも対象工事に入ります(条件あり・着工前の申請が必要)。

金沢区で「セメント瓦の棟から雨漏り」していたお住まい

株式会社G.B.S の長谷川です。

金沢区のK様邸は、セメント瓦の屋根のお住まいでした。私たちの実感では、横浜市でセメント瓦の家はそれほど多くありません。セメント瓦は通常、塗装でのメンテナンスが必要な屋根材です。ところがこのお住まいでは、棟からの雨漏りがすでに見つかっていました。

そこで、塗装ではなく、重いセメント瓦を下ろして、軽いガルバリウム鋼板で葺き替える工事をご提案しました。外壁も同時に塗装し、もともとの洋風の雰囲気を活かして仕上げています。

金沢区の施工実績:セメント瓦からガルバリウム鋼板への葺き替えと外壁塗装(K様邸)

セメント瓦とは?粘土瓦との違い

セメント瓦は、セメントを主な材料にした瓦です。素材が水を吸うため、表面の塗膜で守る必要があります。粘土を焼いた瓦は、基本的に塗装がいりません。

セメント瓦・コンクリート瓦 粘土瓦(釉薬瓦・いぶし瓦など)
材料 セメント・砂など 粘土を焼いたもの
水の吸いやすさ 吸う 吸いにくい
塗装 塗膜で守るため必要 基本的に不要
主な手入れ 塗り替え、割れた瓦の差し替え 棟の補修、漆喰の詰め直し

セメント瓦のなかでも、モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)は表面の層の処理を誤ると塗料がはがれます。くわしくはモニエル瓦の塗装は「誰がどう塗るか」で決まるをご覧ください。

棟から雨漏りしていたら、塗装では直らないのはなぜ?

塗装は瓦の表面を守る工事で、棟のすき間や下地まで回った水を止める工事ではないからです。

棟は屋根の面と面がぶつかる頂上の部分で、雨水の入り口になりやすい場所です。ここから水が入っていると、瓦の表面を塗っても入り口は残ります。雨漏りが続いた屋根は、下地(野地板)まで傷んでいるおそれもあります。

このため状態によっては、屋根全体をやり直す葺き替えが選択肢になります。屋根のてっぺんの金属の部材(棟板金)の仕組みは台風で剥がれる?屋根の棟板金とはで解説しています。

葺き替えとカバー工法、どう選ぶ?

下地まで傷んでいるおそれがあるなら葺き替えです。カバー工法は既存の屋根を残して上に重ねるため、下地の傷みを直せず、屋根も重くなります。

工事 内容 向いている状態
塗装 瓦の表面を塗膜で守る 雨漏りがなく、瓦と下地が健全
カバー工法 既存の屋根の上に防水シートと新しい屋根材をかぶせる 下地は健全で、屋根材の表面が傷んでいる
葺き替え 既存の屋根材を撤去し、下地を補修して新しく葺く 雨漏りしている、下地が傷んでいる

屋根材メーカーの三晃金属工業も、カバー工法の注意点として、重さが増えることと、下地が傷んでいると根本的な解決が難しいことを挙げています。カバー工法が向く場合は屋根カバー工法、ちょっと待って!にまとめています。

セメント瓦からガルバリウム鋼板への葺き替えは、どう進む?

古い瓦を下ろし、下地を直してから、防水シートと新しい屋根材を張ります。撤去の前に、石綿(アスベスト)の事前調査が必要です。

セメント瓦からガルバリウム鋼板への葺き替えの一般的な工程。1石綿の事前調査、2足場と養生、3既存の瓦と棟の撤去と処分、4下地の野地板の点検と補修、5防水シートを張る、6ガルバリウム鋼板の屋根材を葺く、7棟などの板金を取り付けて点検、の順に並べた図
  1. 石綿の事前調査:建築物の解体・改造・補修の工事では、2023年10月から、資格のある人による事前調査が義務になっています。
  2. 足場と養生
  3. 既存の瓦と棟の撤去・処分
  4. 下地(野地板)の点検と補修:雨漏りで傷んだ部分を直し、必要に応じて新しい板を重ねて張ります。
  5. 防水シート(ルーフィング)を張る:屋根材の下で雨を止める層です。
  6. ガルバリウム鋼板の屋根材を葺く
  7. 棟などの板金の取り付け・点検

ガルバリウム鋼板は、鋼板にアルミニウムと亜鉛の合金をめっきした金属の板です。製造元の日本製鉄は、亜鉛鉄板に比べて3〜6倍の耐久性があり、熱をよく反射するとしています(ガルバリウム鋼板は日本製鉄の登録商標です)。

屋根を軽くすると、地震にどう効く?

地震のときに建物にかかる力は、建物の重さに比例して大きくなります。屋根を軽くすると、その力を小さくする方向に働きます。

静岡県の耐震化の案内では、屋根は面積が広く、葺く材料で重さが大きく変わるため、軽量化が地震時の力を小さくすると説明しています。徳島県の事例集にも、重い瓦屋根を金属屋根に葺き替えて、壁の補強などと合わせて耐震性を上げた例が載っています。

ただし、屋根を軽くしただけで耐震性が十分になるとは限りません。壁や基礎も関わるため、耐震診断で確かめます(横浜市は条件に合う木造住宅に無料の耐震診断を行っています)。耐震改修の補助では、軽量化のための屋根のふき替えなどで、診断の点数(評点)を1.0以上にする工事が対象です(平成12年5月末日以前に建築確認を得て着工した、2階建て以下の在来軸組構法の木造個人住宅などの条件があります。着工前の申請が必要です)。外壁塗装そのものは対象外のため、補助制度の全体は横浜市の外壁塗装の助成金と条件もご覧ください。

金沢区のもう1つの実例:屋根を「今は塗らない」判断

屋根の工事は「やれることを全部やる」ではなく、屋根材と時期で決めます。同じ金沢区で、屋根の塗装を見送った実例もあります。

金沢区富岡西のY様邸(築17年)は、太陽光パネルが載ったスレート屋根でした。2000〜2008年ごろに作られた、強度の低い時期のスレートだったため、塗装はせず、次に太陽光パネルを下ろすときに、屋根のカバー工法を行う計画にしました。外壁は無機塗料で色分け塗装し、工期は10日間、同じ規模・内容の工事で今の相場の目安はおよそ129万円です。

K様邸は「雨漏りしていたから葺き替え」、Y様邸は「今は塗らずに次の機会にまとめる」。どちらも屋根材と今の状態から決めた工事です。金沢区の住宅事情や風致地区のことは金沢区で外壁塗装の前に確かめたい屋根材と風致地区のことにまとめています。

金沢区富岡西の施工実績:外壁の無機塗料での色分け塗装(Y様邸)

よくあるご質問

セメント瓦の屋根は、塗装しないとどうなりますか?

セメント瓦は素材が水を吸うため、塗膜が切れると水を吸いやすくなり、傷みが進みます。雨漏りがなく、瓦と下地が健全なうちは、塗装で守ることができます。

雨漏りしています。部分的な補修では直りませんか?

原因が一か所に限られ、下地の傷みが小さければ、部分補修で直る場合もあります。雨漏りが長く続いていた場合は下地まで傷んでいることがあり、調べてから工事の範囲を決めます。

瓦を金属屋根にすると、雨の音がうるさくなりませんか?

下地や防水シート、屋根裏の断熱材などで聞こえ方は変わります。気になる方は、工事の前に屋根材と下地の作りを確かめてください。

まとめ

  • セメント瓦は塗膜で守る屋根材ですが、棟からの雨漏りは塗装では止まりません。
  • 下地まで傷んでいるおそれがあれば、カバー工法ではなく葺き替えを選びます。
  • 葺き替えでは、撤去の前に石綿の事前調査が必要です。
  • 屋根を軽くすると地震の力を小さくする方向に働きます。横浜市の耐震改修補助も、条件と着工前の申請を確かめてください。

瓦の屋根で、塗装か葺き替えか迷ったら、お気軽にご相談ください。

出典と確認日

以下は2026年10月3日に確認した内容です。

この記事は、一級塗装技能士の長谷川 学(株式会社G.B.S 代表)が執筆しました。

株式会社G.B.S/〒232-0066 神奈川県横浜市南区六ツ川2丁目47-1/職人直通 080-3444-1110(受付 8:00〜18:00・日祝休)

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