この記事の結論
- 外壁は年数とともに色があせるため、今の外壁の色をそのまま写しても「新築時の色」にはなりません。
- 元の色の手がかりは、①新築時の書類 ②建てた会社の記録 ③日の当たりにくい部分に残った色の3つです。書類に色の番号があれば、それが一番確かです。
- 色は、日本塗料工業会の「塗料用標準色」の色票番号で伝えると、会社が変わっても同じ色を指定できます。
- 小さな見本で選んだ色は、外壁に塗ると明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見えます。屋外で、大きめの見本で確かめてから決めます。
港南区で「新築時の色に戻したい」というご相談
株式会社G.B.S の長谷川です。
港南区のS様邸で、屋根と外壁の塗装をお手伝いしました。S様のご希望は「新築当時の色に戻したい」。外観の色を戻すことで、家を建てたばかりの頃の気持ちも思い出せる、とお話しくださいました。
新築時の色に戻したい方は少なくありません。ただ、いざ戻そうとすると「元の色が何色だったか分からない」という壁に当たります。この記事では、元の色を見つけて塗り直すまでの進め方を整理します。
港南区の施工実績:新築時の色に戻した屋根と外壁の塗装(S様邸)
なぜ今の外壁の色を、そのまま写してはいけないのか
今の外壁は、紫外線や雨で色があせた状態だからです。あせた色を基準にすると、新築時よりくすんだ色で塗り直すことになります。
塗膜は紫外線や熱で少しずつ傷み、艶が引き、色があせていきます。触ると白い粉が手に付く「チョーキング」も、この傷みの延長です。くわしくは外壁塗装の「保護能力」が切れた時のリスクで解説しています。
日本塗料工業会も、塗った物は屋外の条件によって、10年もたたないうちに元の色からずれていくと案内しています。「今の色」と「新築時の色」は別のものと考えて、元の色を探すところから始めます。
新築時の色の手がかりは、どこにある?
手がかりは、書類・建てた会社・家の中の日の当たりにくい部分の3つです。確かなものから順に当たります。
| 手がかり | 見る場所・聞く先 | 確かさと注意 |
|---|---|---|
| 新築時の書類 | 図面の仕上げ表、仕様書、色の打ち合わせの記録 | 色票番号や外壁材の品番があれば、いちばん確か |
| 建てた住宅会社・工務店 | 引き渡し時の記録の問い合わせ | 記録が残っていないこともある |
| 日の当たりにくい部分 | 付属物の裏、北側の軒下など、光や雨が当たりにくかった面 | あせ方は少ないが、汚れで色がずれていることがある |
| 新築当時の写真 | アルバム・データ | 光やカメラで色が変わるため、雰囲気の参考まで |
サイディングの業界団体(日本窯業外装材協会)の維持管理の冊子にも、新築時のサイディングとシーリング材の品番を書き残す欄があります。品番は、次の塗り替えの材料選びにも役立ちます。
色を正確に伝える「色票番号」とは
日本塗料工業会が発行する「塗料用標準色」の色の番号です。番号で指定すれば、塗料メーカーや塗装店が違っても同じ色を手配できます。
塗料用標準色は1954年に初版が出た色見本帳で、2024年P版は600色を収録しています。番号は「P15-90B」のように、発行年の記号(P)・色相(15)・明度(90)・彩度(B)の順に書き、発行年の記号が違っても残りが同じなら同じ色です。ただし、見本帳そのものも年数で色が変わるため、日本塗料工業会は見本帳の有効期限を3年としています。また、2007年のD版から塗料の材料が変わり、それより前の版とは見え方が少し違う色があります。新築時の書類に古い番号があったら、最新の見本帳で色を確かめ直すのが確実です。
柄のあるサイディングも、新築時の見た目に戻せる?
何色かで柄(模様)を描いたサイディングに、色のある塗料を塗ると、柄は1色になって消えます。柄を残したいなら、透明な塗料(クリヤー)を塗れる時期かが分かれ目です。
日本窯業外装材協会の冊子では、表面の透明な塗膜(クリヤー層)が浮き始める前なら、元の色合いや柄を残すクリヤー塗装ができると説明しています。傷みが進んだあとは、色のある塗料で塗る方法になります。同じ冊子では、一般的なクリヤー塗装のサイディングの塗り替えの目安を7〜12年としています。
柄まで含めて新築時の見た目に近づけられる時期には限りがある、ということです。残念なお知らせになることもあるので、現地調査の段階で正直にお伝えします。サイディングの特徴は窯業系サイディングの正体と本音のメリット・デメリットもご覧ください。
見本で選んだ色が、外壁では違って見えるのはなぜ?
「面積効果」のためです。小さな見本で決めた色を外壁のような広い面に塗ると、明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見えます。
調布市の景観の案内でも、この面積効果への注意を呼びかけています。また、光の種類で同じ色が違って見える「メタメリズム」もあり、室内の照明で選んだ色が太陽の下では違って見えることがあります。色の差を減らすために、次の4つで確かめます。
- 見本は屋外の自然光で、晴れの日と曇りの日の両方で見る
- できるだけ大きな塗り板で見る
- 元の色が残る部分に見本を当てて、並べて比べる
- カラーシミュレーション(画面上の色の試し)は雰囲気の確認に使い、最後は塗り板で決める(画面の色は機器で変わるため)
G.B.S では、塗装の前にカラーシミュレーションで仕上がりのイメージを確かめていただけます。色選び全般のコツは外壁塗装の色選びで失敗しない3つの方法や10年先も「この色で良かった」と思える色選びにまとめています。
港南区で元の色に戻すときに、確かめておきたいことは?
同じ色に塗り直す場合でも、住所が風致地区に入っていれば、先に横浜市の窓口に確認しておくと確実です。港南区では上大岡東3丁目が「磯子」風致地区に含まれています。
横浜市の風致地区では、建築物の色彩の変更は許可が必要な行為です(標準処理期間15日・申請料なし)。元の色に戻す塗り直しの扱いは、着工前に窓口で確認してください。町名は市の「町名一覧」で調べられます。港南区の住宅事情や実績全体は港南区の外壁塗装を築年数と実績4件から考える記事にまとめています。
もう1つ、元の色に戻すのは「探す作業」から始まります。書類探しや見本の確認に時間がかかることがあるので、工事の時期に余裕を持ってご相談いただくと進めやすくなります。
よくあるご質問
新築時の色が分かる書類がありません。元の色に戻せますか?
書類がなくても、日の当たりにくい部分に残った色と見本帳を並べて、近い色を探す方法があります。ただし、残った色も少しずつ変わっているため、「完全に同じ色」ではなく「新築時に近い色」になることをご理解ください。
書類にある色の番号が、昔の見本帳のものです。そのまま使えますか?
番号の発行年の記号以外が同じなら同じ色として扱えますが、古い見本帳は色が変わっていることがあります。最新の見本帳で色を確かめ直してから決めるのが確実です。
元の色に近い見本を選んだのに、塗ったら明るく見えました。なぜですか?
広い面に塗ると、明るい色はより明るく見える「面積効果」が働くためです。見本は屋外で、できるだけ大きな塗り板で確かめてから決めると、差を小さくできます。
まとめ
- 今の外壁はあせているので、新築時の色は書類や記録から探すのが基本です。
- 色は色票番号で伝え、古い番号は最新の見本帳で確かめ直します。
- 柄のあるサイディングは、クリヤー塗装ができる時期を過ぎると柄は戻せません。
- 色は屋外・大きな見本で確かめ、風致地区の住所なら着工前に窓口へ確認します。
新築時の色に戻すお手伝いは、書類探しの段階からご一緒できます。お気軽にご相談ください。
出典と確認日
以下は2026年10月3日に確認した内容です。
- 株式会社G.B.S 施工実績「横浜市港南区 S様邸」https://yokohama-gbs.com/work/%e6%a8%aa%e6%b5%9c%e5%b8%82%e6%b8%af%e5%8d%97%e5%8c%ba-s%e6%a7%98%e9%82%b8
- 一般社団法人日本塗料工業会「2024年P版 塗料用標準色」https://toryo.or.jp/jp/color/standard/2024P.html
- 一般社団法人日本塗料工業会「色票番号について」(発行年記号・見本帳の有効期限3年)https://toryo.or.jp/jp/color/standard/number.html
- 一般社団法人日本塗料工業会「色違い防止のためのご注意とお願い」(2007年D版からの変更・メタメリズム)https://toryo.or.jp/jp/color/standard/color-caution.html
- 一般社団法人日本窯業外装材協会「サイディングの維持管理はどうするの」(品番の記録欄・クリヤー塗装の時期・塗り替えの目安)https://www.nyg.gr.jp/toha/pdf/mainte.pdf
- 調布市「調布の景観」(色の面積効果)https://www.city.chofu.lg.jp/documents/2750/chouhukeikan22_1.pdf
- 横浜市「横浜市風致地区制度の概要」https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/kankyo-shoene/huuti/huuti.html
- 横浜市「風致地区 町名一覧」https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/kankyo-shoene/huuti/huuti-choumei.html
この記事は、一級塗装技能士の長谷川 学(株式会社G.B.S 代表)が執筆しました。
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